アドベンチャーゲーム(B級)

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定吉七番 秀吉の黄金

東郷隆原作のスパイ小説「定吉七番シリーズ」のゲーム化。キャラデザには安永航一郎を起用している。個人的な感想としてはスパイアドベンチャーというよりギャグアドベンチャーといった方が正しいような気がする。大阪を舞台に非合法情報部員の安井友和(通称:定吉七番)が悪の団体に奪われた秀吉の古文書を取り戻すために大阪・東京を駆け回るというのが大まかなストーリー。基本設定は全て馬鹿げたもので、悪の秘密結社「NATTO」は「全関西人の食卓に納豆を!」をスローガンに掲げ、関西人を否定する組織という最初の大前提からいきなり気の抜けたモノとなっており、これが受け入れられない人には最後までプレイすることは到底無理だろう。コマンドには「わらかす」「どつく」などの関西弁が採用されており、ゲームは最初から最後まで関西のノリ移植で進んで行く(私は関西人だから面白いのだが、東京の人でも楽しめるのだろうか?)。システム的にはオーソドックスなアドベンチャーで、基本コマンドをメッセージが変わらなくなるまで繰り返すタイプなので、物理的にクリアすること自体は然程難しくない。ゲーム中には大阪の街並みがきちんと再現されているので関西人なら一度はプレイしてもらいたい異色のアドベンチャーゲームである。

シャーロック・ホームズの探偵講座2

プレイヤー自身が推理を巡らせ事件を解決していくというシャーロキアンには何とも嬉しい作品。実際に外国の俳優を起用してロンドンロケを敢行し日本でアフレコを行い、アメリカの会社がゲーム&ビデオを制作した作品で、ビデオ取り込みの滑らかなフルアニメーションでゲームが進行するというなんともマニアックなゲームでもある。少々テンポの良さに欠ける部分はあるが、映像面の素晴らしさはそれを補って余りあるものとなっている。肝心のシナリオも優秀なゲームブックとして名高い原作「シャーロックホームズ 10の怪事件」を忠実にゲーム化しているので歯ごたえ抜群である。前作ではノイズが目立って聞き取りにくかった音声も本作では改善されており、随分と聞きやすくなっているし、前作では英語表記だった住所録が日本語表記に変更されているのもイイ感じ。ただ、「ロンドンタイムズ」を読まないと推理にならないにも関わらず、前作では付録として冊子で付いていた“ロンドンタイムズ”がアイコン化して、非常に読み難くなってしまったのは致命的(一項目づつアイコンの目次から拾って読むのは面倒臭い)。とはいえ、全体の水準の高さを考えれば、極些細なことと言えるかも知れない。温いアドベンチャーゲームにウンザリしている方には自信をもってお薦めできる名作である。

西村京太郎ミステリー 北斗星の女

西村京太郎書き下しのPCエンジンオリジナル正統派アドベンチャーゲーム。推理小説ファンにはお馴染みの十津川警部&亀井刑事シリーズのゲーム化である。全編を通してテレビの2時間サスペンスドラマを意識した演出がなされており、グラフィックも落ち着いた雰囲気で統一されているのが特徴。ストーリーの方はさすが大御所の書き下ろしというだけあって、かなり洗練されている印象を受けるが、謎解き自体はかなり簡単で(せっかくの自動メモ機能もほとんど出番は無かった…)物語の中盤にはあっさり犯人が分かると思うので(どんでん返しも無い)その後の証拠集めが少し面倒臭いと感じる人がいるかも知れない。ただ、行動コマンドは巧くまとめられているので操作面でのイライラは全く無く、意地の悪いデス・トラップも存在しないので、実にテンポよくシナリオを楽しめるようになっている。また、殺人現場や重要な場面では矢印カーソルで画面を調べて捜査する形式が採用されていたり、西村京太郎お得意の時刻表トリックも無理なく盛り込まれているので(これがなかなか面白い)じっくり腰を据えて色々な趣向を楽しんでもらいたい。西村京太郎の永遠のライバル山村美紗の娘、山村紅葉が声の演技を披露しているのも見所。

マンホール

ゲームクリアもゲームオーバーも存在せず、主となるストーリーさえ存在しない何とも掴み所の無い変なゲーム。マンホールの下に広がる不思議ワールドを探検するのがゲームの目的なのだが、世界観は「不思議の国のアリス」のような感じで、幼い頃に「ナルニア王国物語」や「アリス」シリーズを読んだ経験がある人には懐かしく感じられるかも知れない。ゲームの流れとしては、カーソルを動かしてウィンドウの中にあるものを色々と調べていく訳だが、水道を調べると何故か蛇が出てくるといった風に他のゲームではあり得ないようなシュールで奇妙なノリを味わう事が出来る(隠されたミニゲーム、パターでホールインワンを目指す「パットマン」は必見)。今でこそディズニーがCD−ROM絵本を出版しているが、それに近い作品が10年近く前にリリースされていたというのはPCエンジンユーザーとしては誇らしく思うべきかも知れない。子供の持つ無限の想像力を掻き立て、様々な遊び方を自分で創造できるゲームであり、日本語版・英語版と切り替えてプレイすることが出来るので、初歩の英会話学習にも最適(無理矢理)。私に子供が生まれたら、是非プレイさせてやりたいゲームの一つである。まさにCD−ROMの新しい可能性を見せてくれた作品と言えよう。

山村美紗サスペンス 金盞花京絵皿殺人事件

「北斗星の女」の続編とも言える本格的なサスペンスアドベンチャーゲーム。原作はあの故山村美紗が手掛けており、偶然殺人現場に居合わせた雑誌記者が取材という名目で捜査を進めていくというのが大筋の流れとなっているのだが、本作の最大の特徴で「北斗星の女」と一番違う点は、ほとんど全てのセリフを声優がしゃべっているということである。京言葉に関してはイマイチな部分もあるが、読み込みも速いので、本当にテレビドラマを見るような感じでゲームを楽しむことが出来る。ただ、新しい試みとして登場する“ADS(アクティブ・ディスカバリー・システム)”は、カーソルで主人公を操作して話を進めるという斬新なシステムで、割と芸も細かいのだが、ゲームのテンポを著しく低下させているのが悔やまれるところ(意欲は買うが)。全編を通してスリルはほとんど味わえず、ゲーム性も低いのだが(序盤で簡単に犯人が推理できてしまう上、ゲームオーバーも存在しない)京都の美しい情景を描いたビジュアルシーンや京料理に関する解説などもあるので、前述の通りグルメも扱ったテレビの2時間推理ドラマを眺める感じでリラックスして楽しむには最適の一本だと言える。生前自分の小説の新聞広告の幅や原作ドラマの視聴率などを細かくチェックしていたという山村美紗だが、このゲームの売上本数もきちんと調査したのだろうか…。勿論、「山村美沙サスペンス」恒例の山村紅葉の出演もある。

LOOM

ルーカスフィルム制作のアドベンチャーゲーム。いわゆる洋ゲーという奴である。音によって魔法を奏でるという一風変わったゲームなのだが(「魔笛伝説アストラリウス」という微妙なゲームもあったけど…)好奇心旺盛な人にはたまらない魅力が詰まっている。例えば、魔法には「黄金をワラに変える魔法」といったユニークなものが多く、「こんな魔法が何の役に立つんだ?」と頭を悩ます事も屡々。しかし、少し頭を捻って視点を変えて魔法を使ってみれば目から鱗が落ちる展開にお目に掛かることが出来る。この時の感動は筆舌し難く、病みつきにになること請け合い。また、1つの魔法は何通りもの応用が可能で、その未知なる部分を発見するのも楽しみの一つになっている。まさに、現代人が失いかけている好奇心を掻き立て、それを充分に満たしてくれるのゲームなのである。唯一の難点はテンポが悪いところで、少々イライラさせられることもあるのだが、それ以外の部分の出来は着眼点が常に良く、画面の構成も凝っているし、音楽も退廃した世紀末を思わせる世界とよく合っている。一本筋が通った硬派なゲームだと言え、まさにアイデアの勝利といった感じ。さすがに音階が全く認識出来ないという人には辛いかも知れないが、誰もが感覚で楽しむことが出来る作品である。


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